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コロナ・ワクチン後遺症患者の診療から見えてくるもの
・・・ワクチン接種した人はコロナに罹ってはいけない。故にマスク着用や発熱外来は今後も必要であろう
マスクは3/13に解禁で、外国人観光客大歓迎。それに続いて今度はクルーズ船も運行されると言う。
現時点(令和5年3月の時点)でコロナの数は減ってはいるが、前年の10倍くらいの感染者がいるようだ。
現時点(令和5年3月の時点)でコロナの数は減ってはいるが、前年の10倍くらいの感染者がいるようだ。
このような折、日本医師会から図1のようなポスターが送られてきたがこれも時宜に適ったものと私は考えている。
ウイルスは非常に小さいのでマスクの網目など素通りする。故にマスクは不要だ、と仰る方がいる。しかし、これは正しいのだろうか。一匹のウイルスがマスクを素通りして体に入っても感染を起こすわけではない。一度にたくさん入って初めて感染を起こすのである。
話す時に時に飛び散る唾液にはたくさんのウイルスが含まれていることがある。これを吸い込むと感染が成立する。マスクはこのようなものを防いでくれる。ここに私はマスクの有効性を感じるが勿論絶対ではないだろう。時と場合によるものと考えている。宴会もしたいだろうし、野球観戦、ライブにも行きたいだろう。学校の授業中はどうするか。マスクをずっとさせるのは生徒にとって辛いことであろう。
しかし、病院は病人の集まること所であるし、病院で病気を広めてはいけない。岸田総理が「3/13からマスクは不要」と言っても病院内ではなるべくマスクをするというのは理に適ったものと思う。
さて、私が院内でマスクを励行するには医学的理由がある。
それを述べよう。当院は整形外科のクリニックであるが、ワクチン後遺症の患者さんの相談にも乗っている。その現場で得た知見を述べるとともに、その医学的理由も述べさせていただく。
理由はコロナ・ワクチンである。
ワクチンを接種すると症状は自覚しなくても体に何らか変化を生じている。特に免疫系である。
ワクチンの接種が始まった時にテレビで盛んにやっていた。
ワクチンを打つと抗体が急激に上昇する。しかし、また急に下がるのだ、と。故に、2回続けて打つのだ、と。抗体が増えればそれがコロナウイルスを撃退してくれるのだ、と。これを大先生らがテレビで得得とお話されると妙に説得力があった。
それで多くの国民が接種されたわけだ。
しかしこれで終わりではなかった。また6ヶ月くらいすると、抗体が下がってきているので3度目のブースター接種をしなければいけないと言う。「また打つの? 2回で終わりと言っていたじゃないか」という疑問の声も上がったが、およそ60%の多くの国民が3回目接種に応じた。
そして、4回目、5回目の接種が行われた。
確かに頻回にワクチンを接種すると抗体価は上がってゆく。友人の医院で健常者の抗体価・・・S-IgGコロナ抗体をアボット法で測定したものを示す(図2) 〔耳鼻咽喉科おとふけクリニック院長 中川雅文氏 提供〕。
確かに、ワクチンを打てば打つほど抗体価は上がってゆく。
正常値は50以下。ワクチン非接種者はすべて50以下である。
マスコミで専門家の先生方が仰られていた通り、この抗体は多ければ多いほど良いのだろうか。
この抗体価はいわゆる初期の武漢型のものを測ったものである。ウイルスは次々に目まぐるしく変異を繰り返している。実際に、武漢型に始まり、当時イギリス型と言われたアルファー、次の南アフリカ型のベータ。インド型のデルタ。そしてオミクロン BA1, BA5, さらに、グラフォン、ケンぺウルス、11月頃は、XBB・・・3ヶ月おきに変異を繰り返してきている。今のウイルス株はすでに新しいものが登場しているはずであるが、マスコミでは触れられていない。
よく抗体価が高いから良いのだ。「自分は抗体価が3万だから良いのだ」と考えている方がいる。残念ながらこのような武漢型の抗体がいくらあっても今のコロナ・ウィルスには無効であろう。
私はこの稿の最初に、引き続きマスクを着用して感染予防に努めることが望ましいのではないか、と述べた。また、3月13日からマスク着用は任意となったが、多くの人がマスクを着用している。私と同様に考えておられる方も多いからだろうか。
マスクをする理由として多分「これから必ず第9波が来る。それに備えるべきだ」というものであろう。しかし、医療現場からもたらされる知見はこれとは異なるもっと厳しいものである。
先の図2のグラフでコロナに罹ったことのある人の抗体価の高さが際立っている。これは一体何なのだろう。それを考察する。
ワクチン後遺症の診療に当たっているとすぐに気がつくことがある。
診療経過中に患者さんがコロナにかかる、と言うことがある。
すると、コロナ抗体価が非常に上昇するのである。その数は2倍から10倍である(表1に示す)。
これは一体どのようなわけだろう。
世の中はオミクロン。武漢型はどこにもいない。
それなのにオミクロンに罹ったのに武漢型の抗体がここまで上昇する。
これは「抗原原罪」と言われる現象であると思われる。専門家の中にはこのような現象を「承知していない」と仰られる方もいらっしゃるようだが、臨床の現場ではよく見られるものである。
抗原原罪とは、ある抗原に頻回に暴露されると、その抗原と類縁のものに晒された場合、以前の抗原に対する抗体を作ってしまう、というものである。つまり、mRNAワクチンを頻回に接種して武漢型のコロナウイルスの抗体を自分の体で強制的に作らせたわけだ。するとオミクロンに晒された場合、武漢型の抗体を作ってしまうということが抗原原罪である。
ちなみに、ワクチン非接種者がオミクロンに感染してもS-IgGコロナ抗体価・・・つまり武漢型の抗体価・・は上昇しないことがすでに確かめられている(参考文献2)。
実はこのことに私は半年前に気がついていた。しかし、あまりに恐ろしいことなので公言することは控えていた。しかし、最近このようなことを述べる人も増えてきて、我々ワクチン後遺症を扱っている医師の間ではほぼ常識となった。故に今回本稿でもこれに言及することにしたのである。
さて、ワクチン接種により高く上がった抗体価はどうなるのか。
それも調べてみた(図3)。
初回検査時のコロナ抗体価を100%とし、経過観察時に測った抗体価のパーセントを示した。
これを見ると、半年で30%〜50%に減衰する。
この先は今後確かめていくことになると思うが正常値の50以下になるのは、1年から3年後ではないかと思う。この間は体を特に大事にしたい。下手にコロナ風邪にかかると、抗体価が大きく跳ね上がる。
この先は今後確かめていくことになると思うが正常値の50以下になるのは、1年から3年後ではないかと思う。この間は体を特に大事にしたい。下手にコロナ風邪にかかると、抗体価が大きく跳ね上がる。
抗体価が跳ね上がってもそれに伴って症状がひどくなる、といったことは私は経験していない。実際、図2では交代価が10万を超えているケースもあるが、普通の日常生活を送っている。
抗体価が上がっている理由に関しては私は詳しくは分からないし、まだワクチン自体が新しいものなので科学的に解明されてはいない。しかし、はっきりしていることは体が武漢型の抗体を作っているということである。これは無駄なものを作っているということである。このようなことは自分の体では早く止めさせたいものであろう。
故にコロナに罹って抗体価が跳ね上がることは避けたいものである。
避けるためには抗体価が完全に下がる2 - 3年は、感染防御に努めたい。具体的にはマスクをしたり、何らかの新しい形の発熱外来で発熱患者と一般患者が混在することをなるべく避ける試みは引き続き必要であろう。
さて、コロナ抗体価とワクチン後遺症の症状の関係はどのようなものであろうか。
ワクチン後遺症の症状の軽重を測るには主には患者さん自身の自覚症状しかない。しかし、唯一今のところ、コロナ抗体価がその何らかの客観的な指標になるのではないかと私は考えている。
コロナ抗体価と日常生活のレベルを関係を調べてみた(図4)。
縦軸がコロナ抗体価、横軸が生活レベル。
生活レベルに関して少し説明する。
生活レベルに関して少し説明する。
仕事なら9時〜5時働けるか、授業なら6時間授業に出られるか。
出られたら50点。さらに課外活動、塾、自分の勉強ができたら50点。
社会人なら残業、接待、家庭のこと、習いごと、プライベートの充実を図ることができて50点。合計100点で計算した。
この両者の相関係数を求めると -0.38 で明瞭な相関は得られなかったが、グラフからは抗体価が低い方が日常生活レベルが高いようにも見える。この辺は今後、症例を増やして検討し、かつ、日常生活レベルの判定の仕方をもっと工夫しなければならないと思う。
複数回、コロナ抗体価を測ることができた10症例において、その抗体価の推移と生活レベルをプロットしてみた(図5)。
経過観察期間は2ヶ月から6ヶ月である。
全例に抗体価の低下と生活レベルの改善が認められる。
時間と共に症状が良くなっているのではないか、という考えもあるが、それは現場としては「違う」と断言したい。
患者さんは当院の外来に来るまでに通常、沢山の医療機関の沢山の診療科を受診している。どこでも診断がつかず、それ故効果的な治療もなく、挙句の果てに「心療内科、あるいは、精神科に行くように」と言われ、時に絶望して当院を受診している。発症して3 - 6ヶ月くらい経過していることは普通であるし、1年くらい経過した後に受診される方も稀ではない。
その間、症状はまったく改善していない。当院で何らかの治療を受けて初めて改善を見るのである。6割から7割の患者さんに治療を施すと何らかの改善が認められる。
逆に3割から4割に思った効果が得られていないのも現実である。
今後、治療法を切磋琢磨して、治療率を上げてゆくとともに完全治癒を目指したいと考えている。それが喫緊の課題である。 今、具体的には全国の医師が集まり週2回治療法に関する勉強会をしている。私はその中では後発であり、そこで先行している医師からいろいろと治療法をご教示いただき自分なりに取り入れて臨床の現場で役立てることを試みている。
札幌市医師会でも「新型コロナウィルス感染症後遺症ワーキングチーム」が立ち上がり私もメンバーの一人に加えていただいた。ここでも知見を広めたいと考えている。
最後にこの3年あまりのコロナ禍、そして、ワクチン後遺症の患者さんを診て思うことがあるので述べさせていただく。自分の恩師である札幌医大整形外科の故石井清一名誉教授は在任中我々医局員に何らかの基礎研究に数年間従事するよういつも叱咤激励されていた。私も恩師の勧めもあり札幌医大の生化学教室(秋野豊明教授 主催)、さらには、アメリカまで行って基礎研究に従事したが結局は今、整形外科の無床診療所で働いている。
私があれほど時間と労力をかけて勤しんでいた実験というものは何かの役に立つのだろうか、といつも思っていた。ところがこのコロナ騒ぎにワクチン騒動である。これの説明には必ず基礎医学的な解説がある。それを聞いているとやはりかつてかなりやっていただけに基礎医学的な説明が肌感覚で分かるのである。全員の医師が基礎医学的研究をやる必要があるとは言わないが、やはりそのような人材も医師というグループの中に育成しておく必要はあるのだろう。
すると今の100年に一度あるかないかの災厄の時にいろいろな多様な知識を医師の中に伝播することが出来るのかもしれない。やはり恩師は正しかったのだとつくづく思っている。
他の参考論文 :ワクチン接種者がコロナに罹った場合のコロナ交代価の変化について記したもの
ワクチン接種者における SARS-CoV-2 IgG(S)抗体価の推移
小樽市医師会
脳神経外科おたる港南クリニック
末武 敬司
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